心霊スポットの体験談【2】
ヤビツ峠(神奈川県)
バイトを終え、家で夕飯を食べて風呂に入り、後は寝るだけ。
その日はそれで終わるはずだった。
なのに、なぜかこの日は無性にバイクを走らせたい気持ちに駆り立てられた。
「ちょっとバイクでそこらへん走ってくる。」
「もう夜遅いからやめなさい。」
「大丈夫。すぐ帰るよ。」
母の見送りを背に、俺は走り出した。
久々にちょっと遠出してみるかな…。
なぜそんな気持ちになったのだろう?
普段は走るといっても近所を20分ぐらい走るだけなのだが。
今夜はヤビツ峠へ足をのばすことにした。
寒い中走ること40分。峠の入り口に到着した。
頂上までノンストップで行くぞ!と意気揚々と進入したものの、相変わらずこの峠は外灯がないので暗い。
「なんか変な空気を感じる。」
中腹地点にさしかかったあたりで、引き返そうかなと思った。
迷っているうちに全長10m弱の短いトンネルにさしかかった。
なんだか入ってはいけない気がして、俺は引き返そうとした。
ところが、ブレーキが効かないのだ。
パニックにおちいりながらも何とか必死に運転した。
どうにか停まったのだが、まだトンネルの中?
状況がつかめなかった。
その瞬間、前方からすごい数の気配がした。
何かが近づいてくる。
エンジンをかけようとしたが、まったくかからない。
気配はその間にもどんどん近づいてくる。
くそっ!かかってくれ!
何度も何度もかけようとしているのだがかからない。
かかった!
その瞬間、ガツンと肩をすごい力でつかまれた。
泣きながら逃げた。無我夢中で走り続けた。
走っている間もずっとつかまれていた。
「ドウシテ?」
何だ?誰だ?
「ドウシテ…ドウシテ…ドウシテ…ドウシテ…ドウシテ…」
男か女か。声の区別もつかない。
半狂乱になりながらなんとか峠から出ることができた。
声は聞こえなくなり、肩も軽くなった。
どうにか落ち着きを取り戻しはじめていた、ちょうどそのとき!
「アキラメナイ」
俺は必死で逃げた。そこから先の記憶はない。
母によると、俺は今まで見たことのないような青白い顔をして、部屋に入っていったそうだ。
雄別炭鉱跡(北海道)
目的地は、なにかと噂のある廃病院だった。
その廃病院のある炭鉱跡へ向かう男4人の車が炭鉱へ到着したのは深夜1時頃である。
病院内に入ると、懐中電灯で照らす壁は落書きだらけだった。
不気味な絵や意味不明のメッセージのようなものもあり、気味が悪い。
院内のテラスのようなところにたどり着いた時、
「きゃああああーーー」
突然、甲高い女の悲鳴がした。
病院内に他の人間はいないはずだ。
男達は動揺して、全速力で走って廃病院を飛び出した。
玄関前の車寄せに出たところで、今のは何だったんだろうと玄関ホールを懐中電灯で照らしていると、誰もいないはずの院内からたくさんの足音がカツコツと迫るように聞こえてきた。
男4人でもこの状況は耐え切れず、一刻も早くこの場を去ることになった。
全員が車に乗り込んだ時、俺の携帯が鳴った。
携帯のディスプレイを確認すると『非通知』の表示が出ている。
出ようか迷っているとき、恐ろしいことに気づいた。
電波の表示が『圏外』になっていたのだ。
着信音が鳴り続いているあいだ、俺は狼狽した。
「早く出ろよ。」友達が急かした。
恐る恐る電話に出てみると、最初に聞こえたのは強風のような音。
ゴアァーという音の奥で誰かが話しているような声もする。
よく聞き取ろうと集中していると、突然、
「きゃああああーーー」
院内で聞いたのと同じ女の悲鳴が、その場にいる全員に聞こえるほどの大きな音で流れた。
俺はあまりの恐怖に、思わず電話を切ってしまった。
すると、今度は車に乗っていた全員の携帯が一斉に鳴り始めたのだ。
電話を取れる奴は誰もいなかった。
携帯はしばらく鳴り続け、市街地まで入ると突然鳴り止んだという。
その後、仲間は皆無事だが、俺は怖くなって携帯を解約した。
自殺の名所(和歌山県)
あるスキューバダイビングのインストラクターの話。
それが過ぎた今となっては、おかしなものなんですが。
その頃、昼間はみんなでダイビングして、夜は自殺の名所へ肝試しに行くのがはやっていたんです。
流行ってほんと怖いもの知らずですよね。
その日も大阪からお客さんが来て昼はスキューバダイビング、夜は自殺の名所めぐりの予定だったんです。
和歌山にある自殺の名所は、高さ数十メートルの断崖絶壁。
目の前には広大な海。
落ちれば一巻の終わりなのは一目瞭然です。
外灯などはなく真っ暗で、夜は足を踏み入れる場所じゃないんです。
ちょっと離れたところに薄暗く光る電話ボックスと、自殺を思いとどまらせるための看板があるだけ。
その日もみんなで肝試しを楽しんでいたのですが、一人だけテンションの低い子がいました。
「名所」をグルっと見て回り、また車で宿泊施設に戻る間中、やっぱりその子だけは下を向いてテンション低めでした。
宿泊施設に戻ってからその子に聞きました。
「途中から元気なかったけど大丈夫?体調悪いの?」
「もう大丈夫、心配ないです。」
「よかった。」
「ただ…。」
「ただ…なに?」
「あの場所に着いた時から、インストラクターさんの足首を知らない腕がずっと掴んでたんです。」
神流湖(埼玉県)
「なんもねーじゃん!(笑)」
1ヵ月ほど前の夜中、友達と4人で「出る」ことで有名なダムに行った。
ダムに着き、車から降りて歩いてみた。
確かに静かで不気味だったが、何も出てこなかった。
結局1時間ほどそこにいたが、あきらめて帰ることにした。
僕が車を運転してひとりは助手席、ふたりは後ろの席に座って帰路についた。
「ちょっと、車酔いしたかな。」
後ろの席のふたりが気持ち悪くなったと言って、寝てしまった。
それから10分ほど経った頃、
「ぅわっ!今後ろから女の人の声が聞こえた!」
突然後ろのふたりがいっせいに飛び起き、口を揃えて言った。
「なに嘘ついてんだょ!」
ふたりが「出なかった」腹いせに、示し合わせて打った芝居だと、僕と助手席の友人は声をあげて笑った。
次の日のバイト帰りの明け方。
車で走っていると、ネズミ捕りの警察官に止められた。
スピード違反?シートベルト無着用?そんなはずないのにな。
窓を開けて、
「スピードも出してないし、シートベルトもしてますよ。」
と警察官に言った。
「そうじゃないよ、ダメでしょ。後ろからあんなに顔出さしちゃ。」
「乗ってるの、僕だけですけど。」
「いや、女の人が顔出してたよ。」
「後ろの窓も開けなさい。」と言われて窓を開けたが、もちろん乗っているのは僕ひとりだけ。
警察官は無言のまま混乱した表情で、僕に行っていいと指でサインを出した。
ドアミラーの中で、その場にへたり込んだままの警察官の姿がどんどん小さくなっていった。
自殺の名所(和歌山県)
あるスキューバダイビングのインストラクターの話。
それが過ぎた今となっては、おかしなものなんですが。
その頃、昼間はみんなでダイビングして、夜は自殺の名所へ肝試しに行くのがはやっていたんです。
流行ってほんと怖いもの知らずですよね。
その日も大阪からお客さんが来て昼はスキューバダイビング、夜は自殺の名所めぐりの予定だったんです。
和歌山にある自殺の名所は、高さ数十メートルの断崖絶壁。
目の前には広大な海。
落ちれば一巻の終わりなのは一目瞭然です。
外灯などはなく真っ暗で、夜は足を踏み入れる場所じゃないんです。
ちょっと離れたところに薄暗く光る電話ボックスと、自殺を思いとどまらせるための看板があるだけ。
その日もみんなで肝試しを楽しんでいたのですが、一人だけテンションの低い子がいました。
「名所」をグルっと見て回り、また車で宿泊施設に戻る間中、やっぱりその子だけは下を向いてテンション低めでした。
宿泊施設に戻ってからその子に聞きました。
「途中から元気なかったけど大丈夫?体調悪いの?」
「もう大丈夫、心配ないです。」
「よかった。」
「ただ…。」
「ただ…なに?」
「あの場所に着いた時から、インストラクターさんの足首を知らない腕がずっと掴んでたんです。」
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