短くて読みやすい怖い話【5】全10話 – 洒落怖 ショートショート

短くて読みやすい怖い話【5】全10話 - 洒落怖 ショートショート 短編

 

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短くて読みやすい怖い話【5】

 

 

□ 1 □

 

秋田県の男鹿半島で聞いたはなし。

海沿いの旧国道沿いに小さな廃屋が立っている。自転車で旅をしていたSさんは急な雨に降られてたまたま通りかかったこの廃屋に逃げ込んだ。

今にも崩れそうな外観とは裏腹に室内は生活感が漂い、奥に人がいる気配がした。
Sさんは勝手に外観から廃屋だと決めつけてしまったと思い、家にもう入ってしまったが「すみませーん!雨宿りさせて下さ~い!」と声をかけた。

すると奥から「あんた誰だ。」とドスの効いた声がしたので、怖い人がいると思い「すみませんでした」とSさんは家を飛び出してしまった。

外に出ると朽ち果てて、今出たはずの玄関の扉すら無くなっている廃屋と、ボロボロに錆び付いた自分の自転車が残っているだけだった。

 

□ 2 □

 

富山県の氷見市で聞いたはなし。

市内の工場で働くAさんは写真を撮るのが趣味だった。
本当に所構わず写真を撮るので皆は少しうんざりしていたが、Aさんは人がよく面倒見も良いので文句を言う人はいなかった。

そんなAさんがある日を境に写真を撮るのをパッタリと辞めてしまった。
あんなに熱中していたのにどうしたのかと聞くと、「写真を撮ると必ず不気味な顔が映るようになって気持ち悪くなって辞めたんだ」と言った。

その写真を見せてくれるようお願いしたら、Aさんは明日持ってくると約束してくれた。

その日、Aさんは残業中に高圧電線に触れて感電死してしまった。

 

□ 3 □

 

帰りにスーパー寄ったら、無性に不二家のホームパイ食いたくなって
1袋買って帰路に付いた。普段お菓子はあんまり食べないんだがな~、
なんて考えてたら、今度は急にホームパイを足元に置きたくなった
見ると、曲がったガードレールと、供えられた花束と小さな縫いぐるみ
ああ、そゆ事ねと思い、ホームパイを縫いぐるみの隣に供えて合掌した

□ 4 □

 

一昨年くらいの話なんだけど、
近所の塀に変なモザイク模様の落書きが散見されることがあった。
多分紙とか切り抜いて上からスプレー吹いて壁に転写したんだろう。
そういう手口で量産される、コーヒーのBOSSの顔や阿部さんの落書きとかニュースで見たことあったし。
で、肝心のそれは遠目からみると黒いシミなんだけど、近くでみるといかにもな感じ。
iPhoneのアプリに読み込んでみたら、やはりQRコードだった。
URL繋いでみると、解像度の小さい動画で、それぞれの落書きの場所の夜の風景を撮ったもの。30秒くらい。
ちなみに、URL見た限りどの動画の置き場も懐かしいことに鳥(※tripod)だった。
全く意図不明だし特に事件性も無いので(落書きは軽犯罪だけど)放置した。

で、そんな落書き巡りをしてから一週間後くらいに、自宅脇の電柱にも同じ落書きがされてたのにはちょっと寒気がしたね。
たまたまだと自分に言い聞かせながらQRを開いたら、昼間の明るい映像で、今回初めて人間が映っていた。
動画はコロコロと場面を切り替えていたが似たような内容で、
毎場面様々な人が、皆一様に壁に向かって携帯をいじっているシーン。
ただしどのシーンでも壁を指差してる同一人物がいて、その横でもう一人がケータイをいじっている。
ケータイをいじる人間の中には自分もいた。”指差してる奴”が自分のすぐ横にいた。
きっとそいつが仕掛け人なんだろうが、落書き巡りしてる時の俺はこんな奴は見てない。
気味が悪かったんで、しばらく戸締りには気をつけた。

 

□ 5 □

 

俺の曾祖父さんが子供の頃、親父(つまり曾々祖父さん)と一緒に夜に山を下ってたんだと。
曾祖父さんは幼かったから親父におんぶされてた。
親父は提灯を提げて前を照らしてたらしいんだけど、突然曾祖父さんに「目を瞑れ」と命じたんだと。
曾祖父さんも何がなんやら分からんが親父の言う通り目を瞑った。

そしたら親父が小声で「狸が提灯持って案内してくれちょる」と言ったんだと。
俺が幼稚園ぐらいの頃、曾祖父さんの娘にあたる俺の祖母から聞いたオチのない話。

こっからは俺の妄想になる。
当時は不思議な狸って本当に居るんだなぁ、と思ってただけなんだけど今思うと本当に狸だったのか?と思う。
狸が提灯提げてるだけなのに何で曾祖父さんは目を瞑らなきゃならなかったのか?
曾祖父さんも死んでるし祖母も惚けてこの話を憶えてすらいないから確認しようもないが
俺は曾祖父さんの親父はもっと何か恐ろしいモンを見たんじゃないか?
だから曾祖父さんに目を瞑らせて見せないようにしたんじゃないか?

 

□ 6 □

 

兵庫県洲本市でのはなし。

ここはかつてバブルと観光ブームの際に建てられたホテルが廃墟となって建っている。

その中のあるホテルは夕方になると女の幽霊が現れるという。
ただその女の幽霊は6階建てのホテルと同じ程の大きさだという。

 

□ 7 □

 

高校時代のある英語教師
授業中にいきなり
「誰じゃー!歌歌っとるもん、職員室で歌わすぞ」
とさけんだ
俺はその歌声なんて聞いてない
てか、誰も聞いてない

その教師は鬱で休職と復帰を繰り返し
結局、退職していった

□ 8 □

 

ロシアの複数の研究者が共同で、奇形児に関する調査を行った。
調査が行われたこと自体が公式には公表されていないが
それによると、世界の地域ごとの奇形児の発生率を色の濃淡で表した場合
アフリカ北部を中心とした幾何学模様が形成されるという。

 

□ 9 □

 

80年代前半の出来事。
午前10時過ぎ、2時間目の授業の最中、放送の流れるスピーカーの電源が入り、
『・・・さい。・・・なります。・・・さい。・・・なります』
と、抑揚の無い棒読みの声で、低めの大人の女性の声で放送が流れる。
1、2年生には泣きだす児童もいたため、1、2年生の担任の先生は教室に待機。
3年生の教室に居た3年の担任の男性のA先生が、生徒を落ち着かせた後、真っ先に放送室を確認に向かう。
続いて、4~6年生の担任等他の先生や、用務員が駆けつけ、真っ先に駆けつけていたA先生に情況を聞くも、
「放送をした者を確認できなかった」

当時、学校にいた女性の先生は、皆授業中だった。
学校では、外部の者が学校に侵入し行った悪戯として、防犯体制を強化した。


俺が小学校に入学するだいぶ前に起きた事件。
真っ先に駆けつけた3年生の担任のA先生は、その事件の日から、
体調不良を理由に仕事を休むようになっている。
他の先生たちで代替の授業を行ってA先生の復帰を待ったけど、A先生は結局3週間ほどで退職。
3年生の生徒が手紙を書いたり連絡を取ろうとするも、連絡はつかなかった。
さらに、A先生は精神病で病院に入院しているという噂が流れる。

件の流れた謎の放送、『・・・さい。・・・なります』はボソボソとした口調だった為、
生徒の間で、こう聞こえたー、いやいやこうだー、と様々な意見が流れたが、一番多かった意見が、

『見ないでください。おかしくなります』

 

□ 10 □

 

京都の福知山で聞いたはなし。

週末、電車で市内に向かっている時、車窓に一瞬、宙に浮いている女の顔が見えた。何かの見間違いだと思ってその時は気にしなかった。

しかしその翌週、友人と買い物に出かける為に同じ電車に乗って再び市内に向かっていると、車窓を眺めていた友人が急に顔を青ざめさせて「今、女の顔が空中に浮いていた」と言った。

ああ、やっぱり見間違いじゃなかったんだ。

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