『鉄の心』本当にやった復讐 – 修羅場【長編】

『鉄の心』本当にやった復讐 - 修羅場【長編】- 実際に行動した体験談

 

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鉄の心

 

母方の実家は江戸初期からある家で、大きな蔵がある。

全くもって金持ちではないんだが、古文書の類いは多い。

私はそういった古文書を取り扱う仕事をしている。

なので、ある日じっちゃんばっちゃんに呼ばれて養子縁組を持ちかけられた。

蔵の中の物丸っと相続して、好きなように調べて欲しいと。

その為には養子にはいるのが望ましいからと。

私は独身で末娘だし名字が変わる他には変化は無いし、いずれ整理したいと思っていたので了承した。

両親も親戚からも特に文句は出なかった。

ガタガタ言ってきたのは兄嫁だ。

なんで長男を差し置いて妹が先の相続するのか、何をいくら貰うのか、ごちゃごちゃしつこく聞いてきた。

怒鳴ったり暴れたりは無いんだけど、ネチネチうるさい。

その度に説明したが、

お宝があるんじゃない?

もしお宝が出たらどうするの?

ちゃんと書面にしないと、と言ってきた。

いわゆるお宝なんて多分出ない、

ここにあるのは貴重な郷土資料だから、まとめて地元の博物館に寄託する予定、

儲けにはならないですよ、

と言ってお帰りいただいた。

兄は

「言わせてやって~無視していいから」

とのらりくらり。

お金には困ってない筈だから、単にガメツいんだろうな。

自分の権利が侵害される事には声を上げないと!ってのが兄嫁の持論らしい。

蔵がある土地まるごと相続という形なので、誤解したのかもしれない。

とりあえずその後は大人しくなって、私は蔵の整理に勤しんでいた。

ある週末に知らない女性がやってきて、うちの前でウロウロしている。

しばらくするともう一人同じような女性がこっち見てる。

気にしないで蔵の中にいたら、兄嫁がその女性達を含む7人位で中に入ってきた。

奥にいる私に気付いてないみたいで、なんか勝手に案内し始めた。

慌てて出て行って、なんですか?と聞いたら、その女性達は歴女で、この辺が好きなんだと言う。

ここらは幕末関連の史跡や出身者が多い地方ではあるんだが、そこの郷土資料がある古い蔵を自由に見学出来ます撮影会可です、って勝手に募集かけてたらしい。

侍のコスプレをした女性もいた。

ポカーンとする私を無視して歴女達がなんか始めちゃって、まあ土蔵で写真撮るくらいは良いけど物に触って貰っちゃ困る。

分類してあった古文書を勝手に広げて

「これ、何年頃の〇〇さんの書ですね?分かります」

とか言ってくる。

全然違うしなんか気持ち悪い。

とりあえず私が所有者且つ責任者で、許可を出していないと言って出て行ってもらった。

兄嫁は歴女達からお金を取っていたようで、外で揉めていた。

結局歴女の交通費&貰ったお金を返したようだ。

「本来なら所有者であるあなたが払うお金だったのよ?」

「ここから町おこしに協力してあげようと思ったのに…」

「幕末扮装の聖地にすればサイドビジネス可能よ?」

とかなんとか言われたけど全てに於いて

「頼んでません。関わらないでください。」

で通した。
兄はプレゼントもって謝りにきたけど、両親&爺婆が

「もうあの嫁さんはこっちに来させるな」

と言っていた。

兄嫁は

「孫の顔が見れなくなってもいいんですか?」

って憤慨していたそうだけどこっちは孫やらひ孫やらわらわらいる一人くらい来なくなっても誰も気にしない…。

兄嫁はそれを知って

「孫が可愛く無いなんて、鉄の心ですね」

って言ってきたけど爺婆が

「曾孫は可愛いしいつでも会いたい。あんたが会わせてくれないんじゃろ?酷いの~鉄の心じゃの~」

と返されていた。

家庭内でしばらく鉄の心が流行った。

その後、コスプレした歴女がやってきて、ここで働きたい、弟子にして欲しいと言われたりして面倒臭かったので兄の携帯を教えて、この人と話し合ってくださいねーと伝えた。

その歴女は程々に頭オカシイ人だったので、兄はようやく

「勝手に自分の個人情報を流される」

迷惑に気付いたらしく(兄嫁はうちの実家の住所など歴女に伝えていた)夫婦喧嘩になったそうだ。

翌お正月に兄夫婦が来て爺婆両親私に謝罪。

兄嫁は

「ここは私が折れざるを得ないでしょうね」

と言っていた。

とりあえずそれで冠婚葬祭位は付き合おう、となったんだけど夕方に兄嫁が勝手に蔵に入って閉じ込められた、と、思い込んだ。

蔵の入り口って留め具をしないと勝手に閉まっちゃうんだよね。

で、一度閉まると中からは開け辛かったりする。

頑張れば普通に開くんだけど、冬の夕方で寒くて暗くてパニックになった兄嫁は手当り次第に物を壊して音を立てて助けを呼んだ。

伯父さんが気付いてドアを開けたが中はグチャグチャ。

兄嫁は

「緊急の場合の対応を私が知っていたので助かった、蔵の中よりドアをリフォームする方が先でしょう」

とか言ってきた。

まず、ドアは普通に開くこと。

そして兄嫁が破壊した品物こそ貴重な物だった事、そもそも何故勝手に入ったのか。と言った。

兄嫁の答えは

私 が 検 分 し て あ げ よ う と 思 っ た

そうです。

壊した分は、人命には換えられないでしょう?だって。

それが価値ある物だったと説明すると、溜め息をついて

「…やっぱりお宝はあったんですね?これだから、もう…。まあ、悪事はこうしてバレる訳ですよね。自業自得ですよ」

兄嫁はその場で返されて、二度と家の敷居をまたがない事に。

兄と兄子は一泊して、両親と色々話していたようだった。

兄嫁からメールで

「今回の件はもう良いです。これからの関係を考えましょう」

みたいなのが来たので

「私はあなたのご希望通りには振る舞えません。

あなたとはだいぶ考え方が違うようです。

それを超えて仲良くしたいとも全く思いません。

今後は一切のおつきあいをお断りいたします。

あなたはどうぞ、他でご活動なさってください。さようなら」

と返信しておいた。

兄嫁は兄が帰宅してからそのメールを見せて文句を言ったそうだ。
兄が

「妹や実家との復縁は無理だ。お前とあっちとの関係はもう終わった。どうしようもない。文句を言う筋合いでもない。」

と言ったそうだ。

その後、うちに兄嫁から長い手紙が来て、要約すると

・独身の妹ちゃんの面倒を見るのはけっきょくうちなんだから、もうちょっと弁えた態度を取って欲しかった。

・それを夫に言うと、向こうは人が多いから、こっちに何かしろとは言わないだろう、と言われた。

・確かにそちらは田舎で子供も多いかもしれないが、都会では出産した女性と言うのは尊敬の対象である。

・現に私の実家での私の扱いは素晴らしいものである。

・だからもっと私を優遇して欲しかった。

・私が来た時くらい、そうしてくれてもよかったんじゃないか、私の子供が一番だと言って欲しかった。

・そうした不満が溜まり信頼感が薄れていた。

・そのせいで夫婦の関係にも溝が入った。

・ついてはそちらから夫君に謝るように言って欲しい。

で、文末に母音が押してあった。

三つあったけど誰のだろ…。

兄にそのまま手紙を渡した。

絶句していた。

でも兄は離婚しなかった。

子供が居るし、自分には良い妻だからとその後兄子が不登校になって(マラソンが嫌だかららしい…)その件で兄嫁再び火が付き、担任の先生や校長、ご近所に変な手紙を送ってしまったらしく、村八分状態。

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