切ない話 Vol.6
電気店主夫婦
小さいころ新聞に折り込まれた広告を見ると近所に出来た
電気屋さんの開店セールのチラシが入っていた。
そのチラシには「開店記念、ホットプレートで作った焼きそばを無料配布」の文字が!
焼きそばが大好きだった俺は、タダで焼きそばか食べられるのかとワクワクしながら
弟と一緒に電気屋の前まで行ったが電気屋の近くまで来た時に目にした光景は
閑散とした客誰一人としていない店頭で一生懸命呼び込みをしながら
焼きそばを小さなホットプレートで 焼きつづける電気店主夫婦・・・
子供の目にもあまりにも寂しい雰囲気だったので「焼きそば下さい」と
店の前まで行く勇気が湧かず弟と一緒に遠巻きに電気屋を見て、そのままそそくさと帰宅した。
それから月日は経ち電気屋は無くなった。
家に居場所がない
登山好きの人に
「おじさんになるとどうして登山を好きになるんでしょうか?
山にはどんな魅力があるんですか?」と気軽に聞いてみたら、
「山に何かがあるんじゃなくて、家に何もないんだ。家に居場所がないんだよ」
と予想外に重い答えが返ってきた。
思いやりを持った国
君たちは異常でないと思う。
礼儀知らずで図々しい奴らや、金の為に媚びてる人達、上辺だけのお調子者の今の社会に順応した人達より、よっぽと素直で情の深い人だと思う。
今の日本人には欠けてる部分を絶対に持っている人だと思うよ。
ただ、この日本社会や習慣に順応出来ないだけで、それはおれも同じです。
おれは30過ぎの、いわゆる低学歴でまともな職に就いたことのないDQNな奴だけど、いっそのこと、言葉も通じない、本来人間の持つ暖かさや思いやりを持った国・・・貧しい国でも構わないから引っ越したいくらいに思っているよ。
金栗四三
スポーツ系なら自分は日本初のオリンピック出場マラソン選手の金栗四三の話を推す。
国内で世界記録を20分以上も塗り替えるような記録を出しながらも本大会では日射病で倒れ、行方不明扱いにされてしまった。
日本の期待を一心に背負いながら、それでも走りきれなかったことで、深い自責の念に駆られた。
それでも日本のマラソンの発展のために50年間尽くしてきた。
1967年、ストックホルムオリンピック委員会から「オリンピック55年祭」が開催されるので来てもらえないかという連絡が届いた。
式典後、当時のコースを懐かしげに辿る金栗。そして55年前にたどり着けなかったスタジアムに足を踏み入れた。
何故かそこには観衆と役員、そしてゴールテープ。思い出のスタジアムで念願のゴールテープを切った金栗。
『日本の金栗がただ今ゴール。
タイムは55年…。
これで第5回ストックホルム大会の全日程は終了しました』
幸せになれよな
俺の妹は11歳下。おむつも替えたし、子供みたいな感じで兄弟とは思えなかったけど
やつが高校入った頃から少しずつ会話の量が増え始めた。
生来勘のいい女だからか、通じ合う部分がかなりあって、
恥ずかしながら俺から相談する事もあったくらい。
やつの幼稚園の頃の口癖は「お兄ちゃんと結婚する!」
大学入ってからは両親死んだ事もあって「お兄ちゃんが結婚するまでは安心できない」
今日、妹の結婚式。
バージンロードを腕組んで歩いて来た。
「ありがとう」は兄ちゃんの台詞だ、バカ。
すげー綺麗だったぞ、翠。幸せになれよな。
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