短編『百年の恋も冷めた瞬間 – 家族編【2】』全6話

短編『百年の恋も冷めた瞬間 - 家族編【2】』全6話

 

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百年の恋も冷めた瞬間 – 家族編

 

彼から姉がいるという話を聞いた時。
デブで不細工でバカで~と他人の私がそこまで言わなくても…と
言いたくなるほど散々罵っていた。
それほど無茶苦茶な人もそういないだろうと思ってたけど、
実際彼の家に行った時に会ってみたら全然違った。
体型はたしかにぽっちゃり系で美人というわけではなかったけど、
バカどころか知的で優しくて、弟である彼の事を罵るなんか絶対にしないし、
むやみに下世話な事(どこまで行った?とか)を聞いてきたりもしない。
おまけに手作りとか嫌いじゃなかったらいいんだけど、と
手作りケーキまで出してくれた。(これがまたおいしかった)
正にこんな姉がいたらいいのにと思うような人だった。
(大学の話になった時、彼よりだいぶいい大学に行っていた事まで判明した)
そんなお姉さんを彼はまだどんくさいとか大した勉強してないとか罵っていた。
そしてたまたまお姉さんと私の二人きりになった時、
「彼の話とは全然違うんですね」と言ったら「いつものことだから」。
彼が付き合っている女性を家に呼ぶと、
お姉さんは休みが決まっていないのでばったり会う事があるらしく、
その度に陰でも罵られていると知るとのこと。
ものすごい嫉妬心というか、コンプレックスがあるんだろうな。

しかしお姉さんの困ったような悲しそうな苦笑が忘れられず、
本人がいない場でも弟を悪く言わないお姉さんを本人の前ですら罵る彼に冷めた。
今でも罵っているんだろうなと思うとお姉さんが気の毒だ。

 

 

ビバ家族

付き合ってすぐの頃、手編みのレースの話をした事があって、
「母がファックスにかける物が欲しいっていうから作ってあげた」
「へえ、編み物かあ」
そんな程度で終わった話。
でも彼の誕生日にプレゼントを持って行ったらラッピング見ただけで開けもしないで
「セーター作って欲しかったんだけどさ、母親にはなんか作っても僕のはないんだね」
私、小物のレース編み程度しかしない、すぐ出来ない物なら買った方が安い派、
その事を説明しても、
「欲しかったのに、愛情と努力が足らないんじゃないの」
1日中その事でなんとなく落ち込まれて、夜になったから帰る、って言ったら
「一生懸命編み物する程好きでもない奴となんか一緒にいたって仕方ないもんね」
プレゼントは遊園地デートだったので、彼が持って帰りやすいようにと小さい物を選んで、
彼が欲しがってたアウトドア用のマグカップにしたけど、もって帰って弟にあげた。
彼から連絡は来たが、「セーター欲しかったんだ、ごめん」というメールだったので
「私には無理だから、編める彼女を見つけて下さい」と返信した。
「クリスマスにひとりなんて寂しい」とも来たが、「ビバ家族」と返してからメールもない。

 

 

トイレットペーパー

一人暮らししてた彼の家にて。
買い置きのトイレットペーパーが残り少なくなってきていたので
「私、今度買ってくるよ」と言ったら
「え?いいよ今度母ちゃんに持ってきてもらうから」と。

意味がよくわからず、よくよく聞いたら
・トイレットペーパーを買うのは生活感丸出しで恥ずかしい
・自分はもちろん、おまえ(私)にもして欲しくない
ということらしい。

なんだこの自意識過剰バカ、と思ったら一気に冷めた。

 

 

掃除

高校の時に1年半位付き合ってた付き合ってた彼。
付き合って1年位は居間を通るのを拒否されていた。
彼の家は居間を通らないとトイレに行けない構造で
お邪魔してる時にトイレ貸してと頼むと「近くのコンビニ行ってこい」
理由は「母さん精神病で全然片付けやらなくて汚いから」

その内彼が「台所汚いのが嫌だ。でも母さん精神病だから言えない」と言い出し
これをきっかけにトイレ借りれる様になるかもしれないと思って
腐ってドロドロな茶碗や乾いてカピカピの皿や生ゴミで山盛りの台所を綺麗にした。

掃除してから何度目かお邪魔した時、彼が彼父に呼ばれて戻ってきたと思ったら
彼「おい、母さんいない内に居間綺麗にして驚かすぞ♪居間おいで!」
彼父「さて、私ちゃんには台所を頼もうかな!」
そしてドロ茶碗カピ皿生ゴミの山盛りがまた出来てた。こうなる前に誰かやれよ。
更に何故か居間の大掃除に発展して埃まみれになりながら手伝った。

掃除が終わって彼の部屋でぐったりしていたら
「これで母さん喜ぶぞぉ♪あ、もうこんな時間だからそろそろ帰りなよ」と言われた。
今日呼ばれた理由は掃除要員(主に汚物係)かよと思ったら冷めた。

ずるずる付き合って半年後、自己中・構ってちゃん・お前の財布は俺の物な彼に
もう付いて行けないもう無理だ別れようと思っていた矢先に
「同じクラスの巨乳に告白されたから自己中でケチなお前もうイラネ」と振られた。

その日友達にゲーセンに誘われて「これをあいつの顔と思って殴るんだ!」と言われ
パンチングマシーンをやってみたら92kgだった。
あれから6年。それから何度かやったけど90kgどころか80kgさえ超える事は無かった。

 

 

同居

このまま結婚するのかなあ~と思ってた彼氏。

で、ちょっとそれっぽい話になったら、いろいろ言ってたけど要約すると
「両親と一緒の今の家に同居、場所は自分の部屋」
「両親は定年して年金生活なので財布はこっち」
「このまま働いていいけど家事はよろしく。母さんを楽にしてあげて」
ってことだった………

つまりなにか?
私はフルタイムで働いて、自分の私物も置けない部屋にお邪魔して
昨日まで赤の他人の老夫婦と自分らの世話も4人分して、給料も家に注ぎ込んで?
そこまで酷使されて私が手に入れるのは「籍を入れた」って事実だけ?

…だったら今のまま、自分の稼ぎで自分一人を養って
自分の家事だけやってる方がよっぽどマシ。当たり前だ。
そんなアホみたいな暮らしなら結婚なんかせんわ、と別れようと言ったら
なぜか私の主張を一切理解できないみたいで、かなりもめた。
「結婚なんてようするにそういうもんだよ」って私を諭すし
私の意見がわがままでおかしいんだと。

なんかもう宇宙人みたいというか、恋が覚めるどころか
顔も見たくないくらい気持ち悪くなった。
普通に付き合ってるときはまともな人に見えたんだけどなあ…

 

 

俺無関係

彼の家に行ったとき、彼のお母さんに挨拶をした。
じろじろ見られてなんだろと思ってたら
「この前の彼女と違うじゃない、いやだ~あなたモテるのねぇw
あっ…うちの息子をよろしくね、何日持つのか知らないけど」
わざと何度も違う名前で呼ばれたり、トイレの電気消されて閉じ込められ散々だった。
彼と彼の父親の勤める会社は、私の父の勤める会社の下請けだと言ってから帰った。
1番冷めたのは彼の俺無関係ですって態度。

 

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百年の恋も冷めた瞬間
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