『顔の骨がずれてる婆さん』スカッとする話【長編- 名作まとめ】

【長編- 名作】スカッとする話

 

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【長編- 名作】スカッとする話

 

顔の骨がずれてる婆さん

近所に顔の骨がずれてる婆さんがいた。

爺さんが喧嘩のたび「そこで寝ろ!」とお婆さんを寝かせて、
コーンと頭?顔?を蹴るんだそうだ。
それを毎回やられてたら顔がずれてしまったらしい。

というのは噂だったが、爺さんが「そこへ寝ろ!」→悲鳴っていうのはたまに聞こえてきたし
婆さんに「そこへ立て!」って気を付けの姿勢させてからぶん殴ってたのは俺も見たことがある。
だから多分本当だったんだと思う。

当時俺は中学生で、婆さんが口と鼻から血を流して、
それでも立ってるのを目撃した時は恐怖でしかなかった。
倒れるとまたコーンと頭を蹴られるから倒れられなかったらしい。

婆さんは顎もずれてるから、話し方が不明瞭だった。
それも「はっきりしゃべれ!」って殴られる原因になっていた。
うちの祖母が言うには、若い頃からずっと殴られていたらしい。
「なんで通報しないの?」って思うだろうが、近所中が麻痺してた&関わりあいたくないの一心だった。

その爺さんが癌になり、入院した。
婆さんは一度も見舞いに行かなかった。手術後の付き添いもしなかった。
爺さんと婆さんの間には一人息子がいたようだ。
その息子らしき男が、車で退院した爺さんを乗せてきてペッとおろして素早く走り去っていった。

爺さんはかなり痩せてしまっていた。
婆さんはその後、爺さんを無視するようになった。
爺さんは杖で婆さんを殴ろうとしたが反対に杖を取り上げられ、
胸を押されて、道路に尻もちをついた。
爺さんはわめいてたが、婆さんは無視して帰った。

爺さんが強気だったのは最初の半月くらいで、段々おとなしくなっていった。
3,4ヶ月もすると、別人のようなオドオドした爺さんになった。
息子らしき例の男がたまに家に来るようになり、男は婆さんだけ乗せて車で去り、翌日また送り届けた。

婆さんだけ自分の家に招いたり、外食させたりしていたようだ。
爺さんはなに食ってたんだろ?知らないが、むくんで茶色の顔をしていた。
しばらくして爺さんは癌が再発したとかで、再入院した。

隣近所の証言によると、爺さんは婆さんに
「病院に一緒に来てくれ、一人で死にたくない」と人目のある庭先ですがり、それでも無視されると、わざと窓を開け
「鬼ババア!お前が亭主を捨てた鬼だと近所中に聞いてもらうからな!」と泣き叫んだという。

しかし婆さんは病院へ一緒に行くことはなかったし、
爺さんの暴力を止めなかった時と同様、近所もフルシカトだった。

そして爺さんが入院中、息子が迎えに来て婆さんは引っ越していった。
近所の誰にも挨拶して行かなかったから、転居先は不明だった。

爺さんは退院し、タクシーで帰ってきた。しなびてETのような見た目になっていた。
町内会長が見かねて行政にかけあい、ヘルパーのような人を派遣してもらったが、
爺さんは「他人はいやだ」と突っぱね、「うちのババアを探せ」「それが駄目ならお前の家に住ませろ」とごねた。

さすがに呆れて町内会長も手を引いた。
爺さんは徘徊するようになった。
「一人で死にたくない」と泣きながら近所の家に入れてもらおうとピンポンして回っていた。
誰も入れなかった。

爺さんは1年くらいして死んだ。冬だったから匂わなくて、しばらく誰も気づかなかった。
葬式は無しで、遺品整理に息子と婆さんが来てたらしい。
近所の証言では、婆さんは手術でもしたのか、顔がちょっとだけマシになっていたそうだ。
終わり。

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