『持つべきものは友』など短編5話 – スカッとする話

スカッとする話【短編 - 傑作選】まとめ - 全5話

 

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スカッとする話【短編 – 傑作選】まとめ – 全5話

 

持つべきものは友

「持つべきものは友」って言葉があるけど、それは本当だなって最近思う。
そんな自分の昔の話。

中2の頃、俺テンプレみたいないじめられっこだったんだわ。
ガリチビだから付いたあだ名は「もやし」。
無口で友達もいないし、毎日DQNから殴られ蹴られしたりライターで髪燃やされたりしてた。

でもヘタレだから言い返せないしやり返せなくってさ。
つーか今思うとむしろ悲劇のヒロインぶってたかも知れない。
毎日が辛くて、リスカもよくしたし自殺も考えた。
怖くなってすぐやめたけど。

それで、忘れもしない中2の秋。
いつものようにDQN達に弁当にポカリぶっかけられてたら

いきなり「見ててうざいからやめろ。ぶち殺すぞ」
って後ろから聞こえてきてさ。

見たら、同じクラスの柔道部のいかついやつ(中2にして既に格闘家の角田信郎にそっくりだった)が、DQNを止めてくれてたんだよ。

その角田似のやつは柔道で全国取ったりしてるすごいやつで(後から知ったんだけど)、いつもは無言だからすっげぇオーラばっか発してるってイメージしかなかった。

敵うわけがないから、さすがのDQNもすぐに止めてくれて、それどころか角田の命令で食堂の弁当買ってくれた。

俺はあわあわしてただけだし、めちゃくちゃ怖かったから角田にお礼言いにすらいけなかった。

そしたら後日から何故か角田の方から話しかけてくれるようになって、めちゃくちゃ仲良くなった。
それで、「お前柔道やれよ。世界変わるから」って言われてさ。
そっから柔道始めたんだ。

練習はえげつないほどしんどかった。
正直、いじめられてる時より毎日が辛くなった。

こんなんならDQN達にぶん殴られてる方がマシだって思えるくらい。

でも角田が支えてくれたし、その甲斐もあってか、1年後にはあだ名が「もやし」から「ゴリラ」って呼ばれるまでになった。

20そこらだった握力が60超えた時はマジでびびった。

その頃には完全にいじめられなくなってたし、学校も楽しかった。
中高一貫校だから、そのまま4年間ずっと角田と頑張って高3の春、俺、県の代表にもなったんだ。
角田は全国チャンピオン。
本当にすげぇやつだよあいつ。

そしたらいろんな大学から推薦も来てさ。
「全額免除でもいい」
とか言ってくれる大学もあるくらい。

世界変わったよ。マジで。
今まで生きてた世界の小ささを思い知ったよ。

角田はそのまま東京の大学に進学したから今は電話やメールでしか会話してないけど、俺はいま大学の友達に自慢しまくってるよ。
いや、つーか会社に入っても、子供ができても、孫ができても。

角田の事、ずっと周りの人間に自慢しつづけると思う。
あいつがいなきゃ、俺なんか今頃生きてるかもわかんないんだから。

長くなってごめんね。皆も、友達は作れよ。
それも、周りに自慢出来るようなビッグな友達を作ろうぜ。
人生レベルで、いろいろと捗るぞ。

 

 

オヤジ狩りに遭遇

当方40歳、男子。

185?108?の、ぶっちゃけサエない見た目の中小企業経営者です。

昨年末に顧客企業様の忘年会に参加し、その後事務所への帰路にて、いわゆる「オヤジ狩り」に遭遇しました。

先方は10代後半の男×3名。

なんかクサリっぽいのをジャラジャラいわせてるヤツもいました。

で、ニヤつきつつ、3名が並んで我が行く道をふさぎやがった。

実は詳細は覚えてないのですが、要するに金をよこせ的なことを言われまして、些少の問答の末に、ジャラジャラさせてたクサリを、当方の腰・太ももの辺りに軽く当てたり、軽く頬を張られたりしました。

恥ずかしながら当方これで数十年ぶりにキレまして、大暴れしました。

傍にあった放置自転車とか投げつけたりしました。

また、1人にはヘソで投げるバックドロップを決めたのを覚えてます。

正直懺悔しますが、こいつら殺そう・・・!と、その時は思いました。

ただ・・・バックドロップとか決めといてナンですが、当方は20年ほど前にボクシングのプロライセンスを取得し、6回戦まで進んだ経歴があります(最終戦歴は負け越し)ので、パンチだけはしないでおいた記憶もあります。

最終的に、3名とも失神しまして、ひっくり返った3名を眺めつつ110番通報。

その後分かったのですが、3名とも、結構な刃渡りのサバイバルナイフなんか持ってた由。

署で「ナイフ出されるまえにやっちゃったのが良かったんですかねぇ」とか言ったら、ちょっと怒られました。

ただ、基本的には、予想以上に最敬礼で応対されました。

「ああいう手合いに遭遇したら、できるだけ逃げてくれ」
とも。そりゃそうですな。

ちなみに3人とも命に別状は無かった由。

大した怪我も無かったようで、まぁ、なによりでした。

当方も傷害罪とかになるんじゃないかと思ったんですが、その辺はなんとなく放免された感じ。

 

アメリカ海軍とカナダ当局

1965年3月14日。これはニューファンドランドの海岸沖で,アメリカ海軍とカナダ当局との間で交わされた無線による会話の記録である。

カナダ 「衝突の恐れあり。貴艦の針路を15度南に変更されたし」

アメリカ 「衝突の恐れあり。そちらの針路を15度北に変更せよ」

カナダ 「それは出来ない。衝突の恐れあり。そちらの針路を15度南へ変更されたし」

アメリカ 「こちらアメリカ海軍軍艦である。もう一度繰り返す。そちらが針路を変更せよ」

カナダ 「NO!それは不可能だ。貴艦の針路を変更するよう忠告す」

アメリカ 「こちらはアメリカ合衆国第七艦隊所属航空母艦エンタープライズである。
本艦は巡洋艦四隻と駆逐艦八隻,他多数の小艦艇を従えて航行中である。
我々はそちらの針路を15度北に変更するよう要求す。
もう一度繰り返す。そちらが15度北に転針せよ。さもなくば,そちらの安全は保証の限りではない」

カナダ 「エンタープライズ。こちら灯台である。どうぞ」

 

 

仕事の丁寧な人

うちの会社にAさんって仕事の丁寧な人がいるんだけど、先輩がそのAさんをトロ男。トロ男と呼んで、ことあるごとにからかったりしてたんだけど……

この前、ボーリング大会があって先輩がAさんに向かって
「おい!A!俺にスコアで勝ったら一つだけ言うこと聞いてやるよ!」
って挑発したんだ。
Aさんは困惑してたんだけど、ゲームがスタートしたんだ。

蓋を開けてみたら、Aさん圧勝w聞いてみたらAさんアマの大会で優勝したこそないもの二位や三位に入るほどの腕だった。

それで俺がニヤニヤしながら先輩に
「言うこと何でも一つきくんですよね?」って言ったら
「いやあの……Aボーリング上手かったんだなぁ」とか言い出した。

その時Aさんが
「言うこと一つ聞いてくれるなら○○さんに謝ってください」
って言ったのよ。

これは後から聞いたんだけど、○○さんは事務所で働いているお姉さんなんだけど、早く結婚しろよ!女が会社にしがみ付くってやだね=とかって嫌味を言われて泣いた事があるらしい。
先輩は渋々、その人の所に行って謝った。

帰りにAさんと二人になった時に
「あんなことして大丈夫ですかね?明日から絡み酷くなったら言ってくださいね?さりげなくフォローしますから……」

って行ったら笑いながら大丈夫大丈夫!実はAさん専務の息子さんで、次の人事異動で先輩の左遷が決まっているらしい。

来月Aさんの結婚式だから思い出した。

 

 

お間抜けな部長

お間抜けな部長が、オレの上司にいた。

問題意識も、また解決能力も欠いた、それでいて、上役に取り入ることと学歴だけが取り得の嫌な奴だった。

そいつは、まぁ、悪気がなかったのだろうが、オレの昇進を遅らせるだけ遅らせてくれた。

また「ハイリスク・ローリターンな仕事」ばかりを押し付け、あげく軌道に乗った仕事だけは別の奴に振ってくれたりした。

さて、その「他人に振られることになった仕事」に仕掛けをした。

その仕事のスケジュール管理用のマクロをエクセルで組んでいたのだが、メンテナンス項目を仕組んでおいた。

年に一回、年度を入力しないと不具合が発生するような「単純でしかもばれにくい」仕掛けだ。

案の定、後任はそいつを誤動作させて(本人のお間抜けも手伝って)お役所(省)までを巻き込んだ大騒動となった。

右往左往する部長と後任、覚めた目でそれを見るオレ。

喜びとは縁遠い感情を持つ俺を見て、部長は叫んだ「以前までは『オレ』が見ていたじゃないか!!」

もみ消そうとする、事務所長(部長の上役)に知られないように、一連の騒動を「親会社の人事部」に社内メールした。

その部長はどっかに行った。オレはようやく昇進した。

 

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