【山にまつわる怖い話】『白い人』『ヌシ』など 全5話|洒落怖名作まとめ – 山編【36】

【山にまつわる怖い話】『白い人』『ヌシ』など 全5話|【36】洒落怖名作 - 短編まとめ 山系

 

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山にまつわる怖い話【36】全5話

 

 

白い人

私の知人に、山田(仮名)という、マタギと言うか、猟師の男がいた。
専業の猟師ではなくて、本業を別に持っている、季節限定猟師だ。
私と彼は仕事を通じて知り合ったのだが、身元が割れると嫌なので、私の職業と彼の本業は伏せる。
地名も伏せる。

何年も前の冬、山田が連絡をよこした。
当時山田の山(彼の持ち山ではなくて、猟をする山)に、スキー場を作る話があって、山田は環境保護団体と一緒に、建設反対運動をやっていた。
その運動に協力してほしいと言う。
既に山の北側に、スキー場を視野に入れた県道が走っていたし、今さらどうこう言っても仕方ないような話だったのだけれど、仕事に絡みそうな話でもあったので、土日を使って山田のところに行った。
土曜日は山田の家に一泊して、一通り運動の説明を聞き、翌日予定地を見に行く事になった。

翌朝はスキーを履いて出た。
山田と二人で予定地を見、写真撮影をした。
午後には山を降りる予定だったのだが、帰る前にいいものを見せてやると言われて、山田についてスキー場から少し外れた斜面に出た。
山田は、ザックの中からパンツとかシャツを出して、持ってきたソリ(?)に縛り付けて、斜面を滑らせた。
ソリはかなり滑ってから止まって、上から見るとかなり小さくなっていた。
しばらく下に行ったソリを見ていると、どこからか小学生くらいの背の高さをした、白い人(?)がソリの周りに集まってきた。
動物かと思ったけれど、どう見ても二本足で歩いていた。
そいつらは、数が集まるとダンゴ状に固まってソリにたかっていた。
「スキー場作ったら、あいつらみんな食われるぞ」
山田はそう言っていた。
怪奇現象かと思ったが、なにせ真っ昼間のことだから、ただ呆然と見ていた。
山は、違うんだなと思った。

その後は、別に何事も無く山田の家に戻った。
当時の私は、仕事も油の乗っていた時期だったので、ややショックもあり、よくわからない事にかかわるのは止めた。
結局スキー場は出来てしまったし、化け物が出たと言う話も聞かない。
それから疎遠になってしまったので、今は年賀状以外で、山田との連絡は無い。
今思えば、ファンタジーな世界に入れるチャンスだったのかもしれない。

 

ノウゼンカズラは喋る

子供の頃、田舎に帰省中にあったこと。
裏山で遊んでいたら、ノウゼンカズラのような花を見つけた。
でも花の色はもっと毒々しい赤紫だった。
下にはたくさん蕾が落ちていた。それもノウゼンカズラのようだったので
踏んでみた。
(ノウゼンカズラの蕾は踏み潰すとポフンと音がする。面白くて良くやっていた)
ぐぎゃ、と何だか人の声みたいな音がした。
え?と思って、試しにもう一つ踏んでみた。
きゃー!
今度は子供の悲鳴のような音だった。
一気に怖くなって逃げ出した。
人家の近くまで逃げてから、靴の裏は砂でこすって用水路で洗った。
白いゴム底には血みたいな色がしばらく残っていた。
怖くて、その後は山に行けなかった。

祖父母に言っても信じてもらえなかった夏の思い出。

ヌシ

子どもの頃、父と叔父、私と妹の4人で父の実家(山の中)のすぐ側を流れる川に
一度だけ川魚を獲りに行ったことがある。

魚を追い、岩を越え下生えを踏みしめ、どんどん川を登っていく。
どれだけ進んだのか、ちょっと開けたところに出た。
どれ程の広さがあったのか、子ども時分のこと故定かでないが、8畳?10畳?
結構な広さがあったように記憶している。

木々が天井を覆い、右手と前方は岩肌が壁となっている。
前方の岩肌からは伝うように水が滴り落ち、川底には大きく平たい岩が
敷き詰めたようである。
水はどこまでも澄み、右手の木々の間からこもれ射す陽にきらきらと輝きながら
膝下を穏やかに流れ過ぎていく。とてもきれいなところだった。
そして、怖くもあった。

この山に主(ヌシ)とよばれるものがいるのなら、きっとここがその住処に違いない.
…そう思った。

 

浮いている人

これは自分の妹(当時小5)が体験した話。

小学生の頃、よくキャンプに連れて行ってもらっていた。
家族皆キャンプが大好きで、夏休みは毎週のように連れて行ってもらってた。
この体験をしたのは小6の夏で、仲の良かった近所の家族も一緒だった。

初日、私達はその山でかなり遊んだ。
かくれんぼをして遊んだとき、私は一番仲の良かった女の子と一緒に、私達が泊まるコテージの下に隠れた。

その下はけっこうなスペースがあって、なにか白い塊?が散らばってた。
よく見ると土の色が周りと微妙に色が違う。
そのときは「この白いの何かなー?」くらいにしか思ってなかった。
一緒に居た子に、「ここに人の骨あるでー」と言って怖がらせてみたりしたけど、その子は当然信じはしなかったし、私もなんかの固まりくらいにしか思ってなかった。

コテージは3つとってたから、父親、母親、子供に別れて寝ることになった。
そのときは何も思わずにコテージを選んだんだけど、そのコテージは昼間、私達がかくれんぼで隠れてたコテージだった。
ゲームやおしゃべりしてて、気付いたらもう10時。
そろそろ寝るか、ってことになって皆寝付いた。

夜中、目が覚めて起きた。
体を起こして周りを見回すと誰かがこっちを見ている。
びくびくしてると、それは妹だった。
妹も眠れないらしい。
どうしたのか聞いても黙ったまま。
その夜は一緒に寝たよ。

次の日の朝、朝ご飯のときに夜のことを聞いてみた。
「あ、あれね。昨日の夜ね、なんか目が覚めたんね。
そしたら、コテージの中に知らない男の人と女の人浮いてたんで」
普通に浮いてたとか言う妹にびっくりした。
「足の辺りよく見えなかったけど、浮いてたっぽかった。
でね、その人たちがなんか話してるんよ。」
「なんて言ってたん?」
「『この下に埋めるかぁ』って。」
そのこと聞いた途端に鳥肌がたった。
昨日の昼間見たあの白いのは本当に・・・?
一緒に居た友達も妹には言ってないと言う。

結局、その人たちは誰か、本当に埋められてたのかは分からなかったけど、
今でもたまに食卓にのぼる話題。

 

生簀の岩魚

特に怖い話ではありませんが、俺が体験した不思議な話でも。
俺は秋田県在住で、季節が来ると八森町という所にある山へ岩魚を釣りに行ったり山菜を取りにいったりしています。
沢を2時間ほど上った先に少し開けたポイントがあるのですが、そこにキャンプを張った2日目の真昼の話です。
その日はとても良く釣れました。5時から7時半位までで、持ち帰るレベルの大きさのものが17匹も釣れました。
まだまだ釣れそうでしたか、あまり釣りすぎてもいけませんから、釣るのを止めキャンプへ戻り朝ごはんにしました。
もう一泊の予定でしたから、釣った魚は川渕に生簀を作り、そこに泳がせておきました。
朝ごはんの後はイワタバコという山菜を取りに行きました。
あまり見かけない大きなナメクジが沢山居たのが印象的でした。
11時半頃山菜取りを終えキャンプへ戻り、朝釣った岩魚で一杯やった後テントへ戻り少し寝ました。
14時頃違和感を感じて起きました。
川音も聞こえない位、山が酷く静かなんです。
「なんだべ…まぁこんた日もあっかー」
っと思いながらテントを出ようとすると、下流の方から音も無く川の中を真っ黒な塊が上って来るのが見えました。
とっさにテントの中へひっこみ、隙間からその黒い塊を見ていました。
魚の群れのようにも見えましたが良く分からなかったです。
金縛りとかそんな感じではなかったですが、それが通り過ぎるまで身動きできませんでした。
なんというか、少しでも動いたら引っ張られそうな感じで…
黒いのが通り過ぎた後とても怖くなり、逃げるように沢を下り家へ帰りました。
生簀の岩魚は全て居なくなっていました。

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