『呪いの部屋』|名作まとめ【巣くうものシリーズ】

『呪いの部屋』|名作まとめ【巣くうものシリーズ】洒落怖・怖い話・都市伝説 巣くうものシリーズ

Aの言では、B夫とBの子供は大丈夫だろうということでした。
一緒に暮らしている限り、Bの「何か」の気配が色濃く染み付き続けるから、
大概のものは避けていくし、そもそも霊的なものに害を受け難い性質だから、と。
現に、帰りにB夫が外出のついでに駅まで送ってくれた時には、道にたむろしてる悪いものは
むしろ避けていたそうで。

……問題は、おそらく付近に住んでいる人だろう、と……
何か、後味の悪い話になってしまいました。

読んでくれた人、どうも。
後味悪くてすまん。

俺も何かスッキリしなくて、吐き出したかったんだ。
多分、Aもそうだと思う。
Aは「みえるひと」だけど、だからって漫画に出てくる
スーパー霊能者みたいなことはできないんだと言ってました。
絶対に勝てない、何もできないと解ってるものには関わらないようにしてる、
いちいち手を出してたら今まで生きのびてない、ともらしたのを
聞いた記憶があります。

ただ、何も見えないのに危険は自動的に防がれるBは羨ましくないか、と
重ねて尋ねた時には、重そうにハッキリと首を横に振ってました。

「絶対に、思わない。あんなモノに身体の中に住みつかれて自分で気づいてない、
なんて死んでも嫌。上手く説明できないけど、結果として助けて貰ったことが
あっても、アレは感覚が受け付けない」

とのことです。

普通の霊と何が違うのか、との質問に対する答えは、
「情念がない」でした。

「違和感については説明し難いけど、解りやすく言うとね。
霊ってある意味で心が剥き出しで存在してるようなものだから、
人でも動物でも、必ず何か色、っていうか想いが見えるんだよ。
『生きたい』とか『苦しい』とか、シンプルなのでも。
その情念に基づいて、こっちの世界で祟ったり守ったりするんだから。
でもBのアレは、それが見えない。何か意思があって能動的に動いてる
のは解るんだけど、その源になる想いが一貫して全く無い。
Bの中から出てくる時も、Bの中に戻ってく時も、井戸から出てきたモノと
ぶつかってた時でさえ、全くなかった。
霊的なものとしては、絶対にありえないことなんだよ」

……本当に何なんだろうか?

[完]

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