16. 少女の呪い
これは、私が小学生の頃の話です。
学校からの帰り道、真っ黒な髪を腰までのばした女の子が、
公衆電話の前に立っていました。
その子が振り向いて話かけて来た時に、
その目が白く濁っていた事から、私は彼女が盲目である事を知ったのです。
その子は透き通った声で言いました
「美加ちゃん、お葬式の最中に悪いんだけど、
私の代わりに電話をかけてくれる?」
わたしは(何か誤解されてるな)と思い乍らも、
そこは突っ込まずに、それよりも彼女が何故まよう事なく私の名前を言い当てたのか、
知りたいと思いました。
「どこかで、会ったかしら?」
すると彼女はクスクスと可笑しそうに笑い、
本を読むように饒舌に語り始めたのです。
「クラスが違うから、知らなくても無理はないけど、
アナタの同級生よ。貴方は一組で私は六組。廊下の端
と端ですものね。でも私は、ずっと前からアナタを知っていた…。
目の悪い人間ほど、声には敏感なものよ。
アナタはとても綺麗な声で、クラスの人望も厚くて、
よく皆の話題になってた・・・。
だってアナタは優等生の見本のような人ですものね。
きっと私の頼みを聞いてくれると思ったの。
エゴイスティックな他の人たちとは大違い……」
なにかが狂ってるような気がしました。
それでも私は、その少女のいう通りに、
ダイヤルを回し(当時はまだダイヤル式の公衆電話でした)、
少女のいう通りに、受話器を渡したのです。
女の子は、電話の向こうの誰かと声を潜めて話しては、
時々こちらを見て、にっこりと笑いました。
その電話が終り、少女が去った直後でした。
私が、途方も無くおそろしいものに取り憑かれていた事に気付いたのは。
理由を詳しく説明する事はできません。
私のつまらない文章の意味を理解した者だけが、
とりかれる。
それが、この少女の呪いの
「破ぁ!!」ールなのですから。
17. 押入れの中
一人暮らしをしている大学生の男がいた。
男が住んでいるのはごく普通のアパートだが、
たまにおかしなことが起こった。
大学から帰ってくるとカーテンの形やゴミ箱の位置などが
微妙に変わっている気がするのだ。
最近は誰かにつけられてる様な気もしてきた、
流石に気味が悪くなってきた男は大学の友人に相談した。
男が「もしかして…ストーカーかな?
警察に言うのが一番良いと思うけど…
警察は実際に被害が無いと動いてくれないって聞くしなぁ…
どうしよ……。」
と困っていると、
友人は「…じゃあ大学に行ってる間ビデオカメラで部屋を撮影しておいて、
もしストーカーが部屋に侵入してるのが撮れたら
そのテープもって警察に行けば良いじゃん、
不法侵入してるわけだからさすがに警察も動いてくれるだろ。」
と具体的な解決策を提示してくれた、
やはり持つべきは友!これは良い案だ!
と思った男は早速次の日の朝、
部屋にビデオカメラを設置して録画状態のまま大学へ行った。
大学から帰ってきた男は焦った、
久々に部屋に違和感がある、
「これは期待出来る、マジにストーカー写ってるかも…」
と思いながらビデオの録画を止め、再生した。
しばらくは何も写らなかった。
しかし夕方になると、知らない女が包丁を持って部屋に入ってきたのだ。
「…!!!!!!」ビビった男はすぐに友人に電話をかけた、
「ヤッベー!写ってる写ってるストーカー写ってる!!!!」
と若干興奮気味に伝え、それからは録画を見ながら友人に内容を実況した。
「ゴミ箱漁ってるよぉ…」
「今度は服の匂い嗅いでる…キメェ!!」
今までコイツは何回も来ていたのかと思うと、
男は背筋が凍る思いだった。
「これで警察も動いてくれるなぁ」
と少しホッとしてると、画面の中の女は押入れに入った。
「うっわ…押し入れの中入ったよ、
しかもなかなか出てこない……」
などと友人と喋っていると、また誰かが部屋に入ってきた。
男は言葉を詰まらせた。
部屋に入って来たのは自分だった。
そしてビデオの中の自分はカメラに近付き録画を止める、
そこでビデオは終わっていた。
押し入れにまだ女がいる。
破ぁぁ!!!俺は押入れに向かい念を込めた。
しばらく押入れではどたばたもがいていた様だったがすぐに静になった。
わざわざビデオに取らなきゃ見つけられないなんて俺もまだまだ未熟だな……
うちのオヤジは凄い、改めてそう思った。
18. 指輪
群馬県の田舎の方である一家が心中したそうです。
それから数ヵ月後、その家が壊されることになりました。
その時、東京の大学の「オカルト研究会」みたいなサークルに所属する学生が
壊される前にその家を見物しに行こう、ということになりました。
男2人女2人の4人で。行ってみるとその家は壊されかけでした。
いろいろなモノが散乱しています。
ビデオを撮りながら「お邪魔しまーす」。
「ここが台所ですね」
「トイレ借りていいですか」
ふざけてる内に片方の女の子が怖くなってしまったので帰る事にしました。
「お邪魔しました~」
ここでビデオも撮るのをやめ、車に乗り込みました。
帰りの車の中でもう一人の女の子が
「この指輪拾ってきちゃった。記念に部室に置いとこーよ!」
後日。
男のアパートでビデオを見ることにしました。
「お邪魔しまーす」「いらっしゃい」
聞こえないはずの声が聞こええ4人は互いを見つめあいました。
「ここが台所ですね」「はい」
「トイレ借りていいですか」「どうぞ」
「お邪魔しました~」
「待て」
沈黙してしまった4人。
その時、全員の携帯が一斉に鳴り出しました。
一瞬パニックになりましたが落ち着きを取り戻し全員電話に出てみました。
男2人の携帯はいずれも無言電話。
怖がりの女の子も無言電話。
指輪を拾った子の携帯からは
「指輪返して・・・・・」
T『破ァ!!!!』
「ぐっ・・・指・・・輪・・・」
T『その指輪は人間が持っているべきものじゃない。俺に出来るのはここまでだ』
こうして彼らの、指輪を捨てる旅が始まったのです。
19. 山小屋
ある雪山で猛吹雪の中、4人が遭難した。
このままでは確実に死ぬ・・・そう皆が考えていた先、
山小屋が見付かる。
息も絶え絶えに小屋になだれ込む4人。
しかし、その山小屋には暖房施設がなく、あるのは非常用の食糧のみ。
寝れば確実に凍え死ぬ。ひとまず朝になれば・・・
そこでリーダーがゲームを提案する。
「4人全員が小屋の四隅に座り、
5分毎に東回りに歩いて、人を起こして回ろう。
起こされた人は起こした人と交替して次の角に向かう」
翌朝、救助隊が山小屋を発見。疲弊した4人に笑顔が浮かぶ。
救助隊「よく全員ご無事で」
リーダー「いや、駄目かと思いましたが~~~のようなゲームをしまして…」
少し間を置いて救助隊が答える
救助隊「そのゲーム、できっこないですよ」
「ふ破ぁーあ」
大きなアクビをしながら寺生まれのTさんが小屋の外から戻ってきた。
「よ、昨日はどうもな」
どうやら小屋にいたもう一人は寺生まれのTさんだったらしい
「なんだよ、気づいてなかったのかよ……」
ろくに挨拶もせず溶け込めるTさんは凄い。改めてそう思った。
20. 死んでる
オレの友達(アパート暮らし)隣がお年寄りの一人暮らしだったらしいんだ
なんか遊びに行く度によく娘さんらしき人が隣に出入りしてるの見かけるから
様子でも見に来てるんだな位に思ってたんだ
そんなある日そこに住んでる友達が突然バイトを
もう一つ掛け持ちでやるって言いだした
なんで?
と尋ねたら少しでも早く引っ越したいとのこと
なんか明らかに様子がおかしいので事情を聞いてみると
ある日友達が出掛けようと玄関出たら、
隣の部屋の娘さんがドア開けたまま立ち尽くしてる
なんだ?
と思いながらその前を素通りしたんだと
そうしたら後ろから
『すいません、ちょっと待ってください』
と呼び止められた
なんか気味悪いけど呼ばれたから振り返る
『はい?なんですか?』
娘は友達を招き入れるようにして
『これ、見てください…』
友達は言われるまま娘が指差す部屋の中覗いたんだと。
そしたら…
カーテンが閉めきられた薄暗い部屋の中でテレビは砂嵐のまま、
なにか棒状のものが見える
よく眼を凝らしてみると、おじいさんが逆さまで足を上に真っすぐ突き立てて
ベットから落ちている
『死んでるんです…』
突然後ろから娘さんが言い放った
「破ァーーーーッ!!!」
そんなとき通りかかりのTさんが青白い光弾を放った
今では事後処理も無事に完了し、
おじいさんもあの世で元気ピンピンですwwwwwwwww
寺生まれってスゴイ、改めてそう思った
『寺生まれのTさん』 全50話
寺生まれのTさん 全50話【1話 – 20話】
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