スカッとする話【短編 – 傑作選】まとめ – 全5話
同期のチャラ男
会社で同期のチャラ男をセクハラで訴えてクビに追い込んだこと。
入社時から髪の毛おっ立ててピチピチスーツ着て、浮いてるイモ顔のリア充チャラ男のくせに
「お前ってボソボソ何喋ってるかわかんないよねw」
「お前女のくせに声低いwカラオケでも音外れて音痴だしww」
とか何かといじってリア充男グループの笑いのネタにしてくるのが嫌だったけど、言い返せなかった。
去年ある先輩が海外支社に出向するときに、ビデオレターを作って送ろうという企画になって、そのイモ顔リア充が
「喪女田のカラオケとかブス顔入れればウケるんじゃね?」
とこっちの承諾も無く、無理矢理社内で歌えだの写真撮らせろだの、ビデオ持ち込んで強制してきたので(もちろん社内は撮影禁止)入社時からの一連の話をハラスメント対策課と人事部に泣きながら大げさに話した。
ハラスメント対策課と弁護士とカウンセラーが見方になってくれ(セクハラや内部告発にピリピリしてる会社なので)大げさな形で自分の上司とイモ顔の上司に話が伝わり、
「君ねえ・・同期とはいえ女性社員に汚い言葉でなじってカラオケとか撮影強要したんだって?
うちもこういう問題ごとは起こしたくないんだよね。
喪女田さんはせっかく入った女性社員なんだし。
ハラスメント対策として、このビルに立入禁止にして人手の足りない田舎の○○工場に配属してもらうか、自主退社してもらえないかな?」
みたいな話になって、
「一身上の都合で退職します」
と書かされたらしい。
上司は周囲に
「彼は田舎に戻って親の農業継ぐらしいよ(イモ顔の親は都内に住んでるし農家じゃない)」
と話してるけど、真実はあまり知られてない。
悪い噂はすぐ広まるから、セクハラでクビになったというのは薄々気付かれてるが。
専門誌系メインの編集プロダクションにて
かなり昔の話ですが…。
とある専門誌系メインの編集プロダクションにて。
私
「あれ?そういえば今日Mさん来ませんね」
先輩Sさん
「Mなら辞めたよ」
私
「え?辞めたんですか?知りませんでした。私にいろんな仕事を振ってくれるいい先輩だったのに」
先輩Sさん
「は?お前いじめられてたんだぜ?」
私
「ええ? 私、いじめられてたんですか?」
先輩Sさん
「自覚ないの?土日も仕事押しつけられてたのに?ここの全員が知ってるよ。でも、下手に庇うと余計悪い方向に行くんじゃないかってことで、みんなで様子観てたんだよ」
私
「そのおかげでいろんな仕事を高速で覚えられましたよ」
先輩Sさん
「でもお前のアイデア、ほとんどあいつにパクられてただろ」
私
「それはMさんが気に入って採用してくれた、と単純に喜んでました」
先輩Sさん
「お前バカじゃね?手柄横取りされてたんだぜ?」
私
「でも会社名義の仕事だから、出版社や読者からすれば誰のアイデアかなんて どうでもいいですよね。面白ければ。それより、なんで急に辞めちゃったんでしょう?」
先輩Sさん
「出版社から、Mの原稿はつまらないから全部お前に書かせろって指令が下ってて、Mは仕事が減って居づらくなって、ここの男全員に好きでしたとかなんとか言って関係を迫ってたんだ」
私
「えええ?社長は?」
先輩Sさん
「とにかく全員。男だけで飲みに行ったとき発覚した。それを社長が問い詰めたら辞めたんだ。自分から辞めてくれてよかったよ。そのぶんお前が大変になるけど、まあ、頑張れ」
まったく何の自覚もなく、糞ビッチの仕事をほぼ全部取り上げて追い詰めて辞めさせた、という話でした。
中高一貫校だったけど一匹狼で過ごした
地方の中堅クラスの中高一貫校だったけど、一匹狼で過ごしたために思い出らしいものが一つもなかった俺。
ある日、派手で成績もいいスクールカースト最上位グループが、学校から離れた店で集団万引き→店員を殴るという事後強盗事件をやらかした。
けどグループの中心メンバー2人が地元有力者の子供だったから、事件を揉み消し、他の生徒は一切知らないままだった。
ところが数年後、大学入試でメンバー全員落ちた。
滑り止めまで見事に滑り、教室で罵り合いの大喧嘩になったせいで、他の生徒の知るところになり、むちゃくちゃな感じで卒業。
受験校にタレ込んだのは、事件当日たまたま店にいて全てを目撃していた俺。
店は卒業後1年もしない内に閉店。
クソみたいな学校生活で唯一スカッとした瞬間だった。
定食屋に行った
こないだ定食屋に行ったら、おばちゃんたちがめちゃくちゃ怒ってた。
俺は外に並んでいたんだけど、ばっちり聞こえる位の大声で。
何か「自分たちより後に頼んだ人が、先に来た!」
みたいなくだんない事。
で、「申し訳ありません」とか言われても、調子乗って
「サラリーマンじゃないんだから相席なんて普通勧めないでしょ!」
「いつまでたってもお冷持ってこない!」
水はセルフだ、と言われると
「普通客が来たら忙しくてもすぐ水を持ってくるものでしょ!」
おばちゃんたちがギャーギャー喚いて店員一人拘束してるため、店員3人の店なので回転も悪くなり、残された二人はとっても大変そうだった。
周りの忙しさを目で確認する店員に
「あんた人の話聞いてるの!」
と絡んだ時、リーマンが
「そんなに気に食わないんだったら出てけよ、おばはん!」
と一喝。
それに客が同調しておばちゃんたち四面楚歌。
んで「んまー何よ!行きましょ奥さん!」
フンガーって出てきたおばちゃんたちは、並んでいた客に白い目で見られながら退場。
「2度と来ないわこんな店!最悪!」
と叫んだ瞬間
「アイアイアイアアアアーー!」
と悲鳴をあげ、髪をバサバサし始めた。
おばちゃんの頭頂部に鳥の糞がメガヒットw
並んでいた客(5?6人?)大爆笑w
すごい確率で、最高のタイミングで糞を落としていった鳥がGJだった。
小学生の時よく物を取られていた
小学生の時、よく物を取られていた。
取っていたのはクラスのリーダー格の女子(Aとする)で、私が当時流行ってたキャラのグッズ(といっても鉛筆とか)を持っていると
「お前がそんなの持ってるなんて生意気!」
と強奪されていた。
私は当時目立たない上に口下手な子で、先生に言いつけるとかそういう行為ができなかった。
先生に言ったら叩くからね、とAに言われていたし。
しかしある日、誕生日に母が買ってくれたマスク入れの巾着を取られた。
これは強奪されたわけじゃなく、どうやら私が見てないところで盗られたようで、Aが盗ったという事は翌日に判明した。
おそらく私は何も言えないと踏んでいたAが、それを堂々と使ってたから。
大事にしていたのでどうしても返して欲しくて、勇気を出してAに
「それ私のだよね、返して」
と言ったら
「は!? あんたのの訳ないじゃん」
と言い返されて突き飛ばされた。
そこに担任登場。
とりあえずAと私は職員室に連れてかれた。
Aは勉強も運動もできて外面は良い子だったので、担任ははなからAが盗ったとは思ってなく
「(私)ちゃんは失くしたんじゃないの、Aちゃんがたまたま同じの持ってたんでしょ」
と私を疑った。
私は気弱で口下手な子だったので「でも私の……」と言ったまま口篭ってしまい、なぜか私が怒られる羽目に。
そこにたまたま来た校長が「どうしたんですか」と入ってきた。
担任はさも「(私)ちゃんの勘違いでトラブルが起きた」ように説明していたが、校長はその説明を聞いて、私の目線まで屈んで
「本当に失くしたんじゃないんだ?」
とやさしく聞いてきた。
私は「校長先生も私を疑っている!」と思って、悲しくなって「失くしてないです」と言いながら泣いてしまった。
そしたら校長は私をなでてくれて、担任に
「この子は普段あんまり自己主張しない子だけど、そんな子がここまで言うなら本当かもしれないよ?」
と言い、今度はAに向かって屈んで
「それは本当に君のなの?」
と言った。
とたんにAの目が泳ぎだした。
この校長、普段から私たちと話す時はじっと目を見つめてくる人で、今思うとこの人にだけは嘘を言えないような雰囲気を持った人でもあった。
Aは結局、下向いてぼそっと「ごめんなさい、盗りました……」と白状した。
担任はころっと態度変えてAを叱ろうとしたが、校長はそれを制して
「人のものを盗るのもいけないけど、嘘を吐くのはもっといけない事だ。でもAさんは今、本当の事を言ってくれたね。僕はうれしいよ。今度から人のものを盗っちゃだめだよ」
とAの目を見たまま穏やかに諭した。
翌日、私が登校するとAが来て、小さい紙袋を突きつけて「ごめん」とぼそっと言って去っていった。
紙袋には、私がいままで取られていたものが全部入っていた。
校長に感化されたんだろう。
今考えても、人間的にも教師的にもとてもいい校長だった。
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