『転職してきた部下』など全5話 – スカッとする話 短編 – 傑作選【因果応報・復讐・武勇伝】

スカッとする話【短編 - 傑作選】まとめ - 全5話

 

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スカッとする話【短編 – 傑作選】まとめ – 全5話

 

ハサミとトンカチで壊してやった

吐くまで殴られても耐えた
「お前なんか生まなきゃよかった」「くたばれ」と言われても耐えた
謙遜のつもりか分からないけど三者面談で先生が私を褒めて下されば遮って唾が飛ぶほど私の悪口を言われても耐えた
私が友達との待ち合わせに向かおうとしたら玄関の前で遮って邪魔して行かせてくれなかったことも耐えた

私の80点のテストは溜息吐いて破り捨てるのに弟の70点のテストは頭を撫でて褒めることも耐えた
私の買ってきた服のセンスを晩御飯の間中ネチネチと馬鹿にされることも耐えた
専業主婦の癖に私に家事を押し付けてきて弟には何もさせないことも耐えた
私の携帯や私物はあれこれ理由付けて没収する癖に私より成績悪い弟には何もしないのも耐えた

大学受験に向けて勉強しようと思った頃に
「おばあちゃんの介護があるから進学は我慢してほしい」
「介護が終わって、結婚して、子育てが終わって、それから通いたければ学校に通えばいい」
と言われたのは流石に我慢できなかった
なんで私だけが辛い思いしなきゃいけないか納得できなかった

家にある母の私物、母の服、全部ハサミとトンカチで壊してやった
母は半狂乱になって「保健所に入れてやる!保健所に入れてやる!」と叫んで叔父さんと祖父母を電話で家に呼んだ
咎められたのは母だった。殴り飛ばされて床に叩き付けられて震える母を見た時、お腹の底から笑いが止まらなくて高笑いしてしまった

叔父さんはこんな私を気味悪がらずに話しかけて下さった
今まで気付いてやれなくてすまなかった、って仰られて、こんな私のために学費を負担して下さると仰った
それから受験までは祖父母の家で過ごす時間の方が長かった

最初は心療内科に通いながら通学してたけど、大学で過ごす時間が楽しくて体も心も元気になっていった
都内でなんとか職にあり付けて生活してる今、もう母に会う理由はない
叔父に学費を返したいけど断られている

我慢してやる必要なんてなかったんだなーと過去を振り返ってつくづく思う

 

 

転職してきた部下

俺は30代独身、下っ端だが一応「長」の付く役職にいる。
去年転職してきた部下が、学生時代バイト先でリーダー格だったAだった。
Aは俺より2つ年上で、既婚者になっていた。
俺もAもお互いすぐ気づいたが、以前は俺の方が下の立場だったため何となく気まずかった。

Aの歓迎会で、Aは俺と学生時代バイト仲間だったことを皆にぶっちゃけた。
酒が入っていたせいもあるのか、俺がバイト先でやらかしたミスや
当時付き合っていた彼女とうまくいかなくて泣きついた事などを面白おかしく話した。

俺としては「今それを言うか」だったが、皆にウケていたこともあり
まさかキレるわけにもいかず「もうそのへんにしておいてくれよ」と苦笑して済ませた。
それが良くなかったらしい。

その時キレなかったせいでAは俺をナメてしまったらしく
さすがに会社ではちゃんと仕事するのだが、若い奴らを引き連れて飲みに行っては
俺の過去話をして「あんなやつ大したことない」「元俺(A)の部下だしw」
と吹聴するようになった。

若い奴らの1人が御注進というか密告をしてきたため上記のことがわかった。
しかし仕事はちゃんとしているので、酒の席の事までどうこう言うのは気が引けた。
とはいえAとAの取り巻きが調子に乗ってきていたので困っていた。

夏になり会社主催のBBQがあった。
これは頭数の会費さえ払えば家族でも友人でも呼んでいいという主旨のBBQで
Aは妻子を連れてくるとのことだった。

俺は学生時代の友人かつバイト仲間で、Aとも元仲間のBを招待した。
BはAとA嫁を見るなり
「なんだよ、Cさんと結婚したんじゃないの?」と声を張り上げた。
たちまちA嫁の顔が強張った。Aはアタフタしていた。

Bは昔から本当に空気の読めないやつで、しかも声が異常にデカイ。
Bはべらべらと、Aがバイト先の店長の婚約者(これがC)を寝取ったこと、
「俺とCは恋愛なんて安っぽいものじゃなく、魂で結びついているから(キリッ」と
店長に啖呵を切ってクビになったこと等しゃべり続けた。

Aが俺に救いを求める目を向けてきたが無視した。
というかこのためにBを連れてきたんだしな。
途中でAが物陰に俺を引っ張って行って「Bを連れて帰ってくれ」と言ったが
「そんなことはできない。ていうかお前の過去話を知ってるのはBだけじゃなく
俺もだってこと忘れてない?」
と答えたらなぜか愕然としていた。

結局、途中で嫁に連れ帰られたのはAの方だった。
Bはその後もビールでいい気分になりAの武勇伝を山ほど語ってくれた。
以後Aは若い衆を連れての飲み会をやめ、会社でもおとなしいのでやりやすくて助かる。

 

高校の同級生がベジタリアンになっていた

大学の時、高校の同級生Aが「姉ちゃんの結婚式のため帰省するので一緒に飲もう」って連絡をくれた
それで飲みに行ったんだけどAが見事にベジタリアンになっていた

別にベジタリアンだろうがなんだろうが個人の自由なんだけど、
俺が焼き鳥とか注文しようとするとAに、「可哀想だと思わないのか」「命を奪って良いのか?」だの言われて
結局ビールと漬物しか注文させてもらえなかったり1時間ぐらい漬物だけで、
「菜食最高!肉食最低!」って演説を聞かされ続け、いい加減イライラしてきた

普段ならこういう話は適当に流せるんだけど諸々の理由で我慢できず、Aが漬物を口に入れた瞬間、
「イタイヨー、カマナイデー(裏声)」「イタイ、イタイ、イタイ、イタイ(裏声)」「ボクタチダッテイキテルンダヨー(裏声)」みたいなこと言って煽った
これで口論になって喧嘩別れしてこれっきりだなぁて思ってたんだけど↑言い終えたら
Aが急に立ち上がり、マーライオンのように吐き出した

後で聞いた所、今まで食べた野菜やその日食べた野菜を動物のように想像したらしい
もう飲むどころじゃないから店員に雑巾貰って掃除して、金払って、Aをタクシーに蹴りこんで解散

タクシー乗り場に連れてく時に餓死でもしたら呪ってやるなんて恨み言言われたから、
もう会うことは無いと思ってたんだけど二日後ぐらいに謝罪メールが来たので、
他人に自分の主義主張を押し付けないことを言い含めて仲直りして今でも飲みに行ってる

ただ俺がこの件を他の同級生に話したせいであだ名が「マー君(苗字名前にまの字がないのに・・)」になったのは正直すまんかった

どっかの宗教とかの集会に参加とかはしてないみたい
自分で本読みあさったって言ってた
ただ想像力が豊かすぎたんだと思う
今は自分は食べないけど他人は好きにしたらってスタンスで落ち着いてる

一応補足だけど嫁さん予定の人も菜食らしいので、多分結婚後の食生活は問題なさそう

 

 

友達が上級生にストーカーされてた

友達が違う学部の上級生にストーカーされてた
サークルで知り合って一方的に好意を持たれたらしい。

連絡先をしつこく尋ねる。さり気なく身体に触ろうとする。
この子の友達からこの子に関する情報を聞き出そうとする。
レポートを書いてたら「どうせ結婚するんだから勉強しなくていいのに」などと言われる

まぁ主にこういった感じの嫌がらせを受けたらしい
こいつから逃げるためにサークルから脱退しても講義が終わる頃に
教室のドアの前で待ち伏せされたりとストーカーは止む気配がなかったっぽい

友人は憔悴しきった様子で相談してきた
下宿先近いし送り迎えしてあげようかな…でも私も女だからいざとなったら抵抗できないし…と色々考えてから、
とりあえず敵を知って戦略を立てようと思ってその男の名前を聞いた

手始めにそいつの名前をツイッターに打ち込んだら一発でヒット。
○○大学●●学部の何回生(あの男と同じ)とプロフに書かれたアカウントが出てきた。
ツイートを遡ってみるといかにもまとめサイトに影響されましたみたいな発言やリツイート
(女に三歩後ろを歩けと言うのは守りたいから、とか、暴力を振るう男なんて…と女が言ってはいけない、とか)がわんさか出てきた

あ~これ典型的なアレですわ…とその男の大体の傾向を理解
この友人は内面はとても聡明で感受性の豊かな子なんだけど黒髪で地味な子だったから周囲から軽んじられることも多かった

「○○は大人しそうだから舐められちゃったんだよ」「これを期にはっちゃけよう!」と唆して、
その日の放課後は友人をヘアサロン、ネイルサロン、ドンキの化粧品売り場に連れ回した
黒髪を脱色させて、ゴテゴテした派手なネイルを付けさせて、ノーズシャドウやカラコンの
使い方を教えて…と小さい頃のお人形遊びみたいで楽しかった

その日の夜は朝まで一緒に飲み歩いてカラオケで熱唱した
夜遊びなんて初めてだったっぽくて戸惑ってたけど0時を回る頃には随分と上々な気分になっていた

これが功を成したのかは知らないけど、翌々日から件のストーカー男は姿を見せなくなった
イメチェンして心機一転したのか友人が前より明るくて積極的になってくれたのが個人的に一番嬉しかった

 

 

大嫌いな先生

家が小学校の真裏だった。
卒業式の一週間前、放課後学校に忍び込み、えこひいきと体罰を繰り返す
大嫌いな先生の靴の中に柔らかい状態の餅をぱんぱんにつめこんだ。

割り箸を使って奥の方まで詰めた。
サッカークラブの顧問だったので、スパイクの中にもたくさん詰めて帰った。

ヤンチャな男子グループやギャル風味の女子グループが徒党を組んで
イタズラしたんだろうと疑われていたが、それぞれにアリバイがあった。

地味な女子が一人で犯行に及んだとは思わなかったみたい。
なんで餅をチョイスしたのかは忘れた。

 

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