『そもそも付きあってもいなかったんだけど』など短編5話 – ロミオメール体験談

短編5話 - ロミオメール体験談

 

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ロミオメール体験談【短編 – 傑作選】まとめ – 全5話

 

 

1

社会人になったばかりの頃、人生初めての彼氏が出来た。
「今度学生時代の友達と集まるんだけど、紹介してもいいかな?来れる?」と言われ、
「勿論」と答えたんだけど、
「お願いがあるんだけどさ、友達の前では君が母子家庭育ちなの言わないようにして」と言われた。
「何それ」と怒ったんだけど、「わかるでしょ?いいイメージないじゃん」とヘラヘラしてる。

「母子家庭と言われればそうだけど、父親だって好きで子供2人残して病死したわけじゃないし、
母親だって子供2人成人させるまで必死で仕事も家事もやって大学行かせてくれたのに、
そんな恥みたいな風に言われるのは本当に不愉快」と言うと、
「まあ君の家はそうでも、世の中の母子家庭はだいたい税金泥棒のクズだからさ、内緒にした方が賢明だよ」と言われ、
「内緒にしたい人なんか自分の恋人にすべきじゃない、それなら私とは別れて」と伝えて別れた。

しばらくした後「○○にデートに行こう」とメールが来て、
「別れるって言ったでしょ。もう終わったんだよ私達」と返事したら、
「え、そうなの?でも俺はわかれないよ、別れたいのは君だけでしょ」と来たので、
「私でも貴方でも、どっちかが別れたいならお別れなんだよ、ただの恋人同士は」と送ると、
「えっ、でも嫌だから別れたくない」「別れたいのは君だけなのに」と散々来た。
面倒なので着信拒否して、家の前に居座られた時は通報した。

まさか私から別れる権利があるなんてとすごく納得行ってない様子だったのが不思議だったけど、
あれも私が母子家庭だから、だったのかな。

 

 

2

中学生の頃、隣の席になった男子Aに告られ、デートすることになった。
行き先は映画で、ちょうど上映中だったロードオブザリング。
その中で「人間には決して倒せないと言われる敵」というのがいて、
でも「人間(MAN=男)でなく女(WOMAN)なら倒せる」というレトリックで、姫がその敵を倒すと言う流れだった。

Aはそのくだりが気に入らなかったようで、出てからずっと
「どんな倒し方するか楽しみにしてたのに、女なんかにあっさりやられてムカついた」と
何度もぼやいていた。
あまりに何度も「女なんかに、女なんかに」と言うのでイライラして、
私も中学生の子供だったし、その場でケンカになって
「二度とデートなんかしない」「こっちの台詞だ」と言い合って終わった。

というわけでただのケンカ別れというか、そもそも付きあってもいなかったんだけど
Aの中では「Aがフッた」ということになっていたらしい。
休みが明けて登校したら「生意気な私をAがフッた」という話が広まっていた。
ムカついたが関わり合いになるのが嫌で、お互い無視したまま中学を卒業した。

それから10数年。
アラサーになった私のもとに、A母→私母経由でフリメにメールが届いた。
ちなみに私は県外で独り暮らししており、実家にめったに帰らない。
メールの内容は
「最近ロードオブザリングのDVDを観て、あの時きみの言いたかったことがわかったよ。
お互いガキで、作品の真のメッセージを掴みきれずにいたよね。
あの作品の真のテーマは愛だよ。きみがおれに伝えたかった愛を、おれは受け止めそこねて云々…」
サクっと受信拒否。
母に「勝手にメアド教えんな」と苦情を言うと
「元カレなんでしょ?A母さんに聞いたよ~、もーあんたそういう事なにも言わないんだから。
あんたももういい歳なんだしまたヨリ戻せば?」
話にならんので父にいきさつを説明し、父に母をシメてもらって終了。
とくに被害はなかったけど、疲れた。

3

当方、女で田舎出身。
高校時代付き合ってた彼氏が大学進学とともに上京。私はそのまま隣町の専門学校に入学したため遠距離恋愛に。徐々に連絡が少なくなったけど「新歓とか忙しいのかな?」と思ってたら案の定浮気されてた。

 

 

ここら辺は割愛するけど「田舎の小さな村でオシャレのオの字も知らない私なんかと付き合ってることがとても恥ずかしい。むしろ今まで付き合ってくれてありがとうと感謝してほしい」と面と向かって言われたときは相当凹んだ。今なら、あんたも数年前までは芋ジャー履いて田んぼの横を自転車漕いでたじゃないですかと笑えるけど。
時は流れ、就職の時期に。私は専門学校を2年で卒業し、良縁もあって海外で技術を生かせることとなった。勤務国は日本でもお馴染みのリゾート地。
それから7年後、現地で結婚して子供も生まれてほのぼのと暮らしてたら1通の電話が。職場からで「◯◯(元彼名前)が、あなたとこちらで落ち合う約束をしてたのにはぐれてしまったと困っている。」とのこと。電話をくれた同僚は当然現地の人なので日本名のイントネーションがおかしかったのもあり「そんな人知らない、人違いだよ」と伝えたのだが一向に自体が収まりそうにないので職場に向かった。

職場につくと「おう!元気だった?会いに来たよ!」と笑顔な元彼が。元彼かなり太って激変してた。色々と話をしたら元彼訪問の理由判明。どうやら元彼は日本の生活に疲れたらしく「そうだ!海外にいる◯◯(私)と暮らそう!」と思ったらしい。海外にいることは同窓会で知ったとのこと。(その時に職場名もゲット)もっと恐ろしいのは日本での仕事も辞め、貯金(といっても日本円で5万円ほど)もこっちのお金に替えてきてた。
目玉ドコーな私をよそに「海キレイ!やっぱ海から家見えるの?!休日はサーフィンして~」とお花畑な元彼。
私「私結婚してるんだわ、だから無理だよw帰ってw」
元彼「え??!まじか!!!まぁでもいいや、一夫多妻っしょ!」(一夫多妻の漢字をよく見てみろ)
私「無理無理w 子供の迎えあるから帰るね。ここにいたら迷惑だから帰ってね。」
元彼「そういうの本当よくないよ。元々俺たち恋仲でしょ?時間経ったけどまた幸せ作ろうよ?」
私「何年前の話w 振っといて何言ってんの?ww」
元彼「そんな昔のことまだ怒ってんの?性格変わってないな~」
さすがにカチッときて「いや、英語もろくにしゃべれないグローバルのグの字も知らない日本人と一緒に海外で暮らすとか恥ずかしい。むしろこうやって日本語で話してあげてるだけでも感謝してほしい。」と反撃したら顔真っ赤にして「英語喋れるもん!!」というのでそこからずっと英語で話しかけたら泣きながらどこかへ消えました。
その後5日ほど職場付近でウロついてましたが、夜中にイケイケなお兄さん達に襲われて(いろんなもの喪失したらしいw)大使館に逃げ込み、身元保証人に私の名前を出したり、、、と色々ありましたが、無事日本に帰りました。
この一連をSNSで書いた元彼は地元で総スカンを受け「就活の愚痴を聞いてくれる友達がいない。みんな薄情だな。」とつぶやいてるそうです。

 

元彼は親もちょっと変わってて、元彼帰国後に私両親に「娘さん、海外に行って人情とか忘れちゃったのかな?心配だね」とか色々と文句言って来たらしい。
「ビザとかどうすんの?」って聞いても「愛の力でなんとかなるだろ!」って三十路間際の人間が鼻水流しながら叫んでた時はさすがに引いたよ。

 

お金があまりにもなかったから少しこちらが援助した。返すって言われたけど連絡ないし、手切れ金と思って諦めてる。

 

 

4

離婚調停中の夫から来たメール。
ちなみに、離婚を言い出したのは夫から。

仕事で発達障害について勉強してるけど、あなたは発達障害だと言われたことはありませんか?
言われた言葉をそのまま受け取るという特徴があるそうです。
まさに、私とあなたとの話し合いのことではないでしょうか。
確かに私はあなたと離婚したいと言いました。ですがそれはそのままの意味ではなく、「こう言えばあなたは自分の間違いに気がつき、私の言うことを理解して変わってくれるだろう。」という意味でした。
あなたが発達障害であっても、私は許します。
これまでも、子どもたちを優先するあまり私を蔑ろにしてきたことを許してきたでしょう。
さらに、こうしてもう一度チャンスを与えた。
いくらあなたでも、私の愛が伝わったものと思います。

子どもが生まれて、しかも双子だったので毎日が大変で、それでも育休が明けたらフルタイムで働き、家事もやってた。
せめて、自分のことは自分でやってほしいと話して、洗濯物をタンスにしまったり、裏返しのまま出された靴下やシャツを表に返すのをやめて、アイロンがけができないからクリーニングに自分で出して欲しいってお願いしたところ、離婚したいと言われた。
他の家事も育児も私が一人でやってたのに、たったそれだけもできないと。
挙げ句の果ては、「靴下を裏返しにしたり、漫画やコップを出しっぱなしにすると、君が片付けてくれる。それで僕は君の愛情を確認していたんだ。それもできないなら、僕への愛情がないということだよ。」と言われて脱力。

なんか、宇宙人と話してるみたいだった。
早く離婚したい。あんたこそ発達障害じゃないのか。

 

 

5

私も過去にあったお話しです。
私は当時22歳で相手は30歳ぐらい。
父の上司の知り合いの息子さんで結婚相手を探していたようだ。
堅苦しくないように気軽な感じでの食事会を設定してもらいました。

その場にいたのは上司夫妻に見合い相手とその両親で私と両親です。
最初は緊張しながらもなんとか話も進んでいました。
相手の息子さんは男子校から大学もほぼ男子のみで職場の所属も男性のみ。
女性と知り合うきっかけもタイミングも逃してしまったと。
話した感じも少々口下手な感じもしたが真面目そうに感じました。
私は働き始めて二年ほどだったので仮に結婚したとしても共働きを希望していた。
それに関しては、専業主婦でもいいし帰りも遅いのでそのまま働き続けても何の支障もないと言ってくれました。
無難な話をしていたが見合い相手がお手洗いに行くために中座。
見合い相手の父親が唐突に「私はおっぱいが大きい女が好きでして~お嬢さん大きいですね~」
咄嗟のことで固まってしまい何も言えず。母親も笑いながらお父さんたら~と。
まるで普通の会話のように話していました。
父が「気が短くてすみません。いい息子さんで娘が幸せになって欲しいと思いましたが当事者同士以外の問題が発生したと思っています。」
そのまま席を立って私たち家族は帰りました。
帰りの車の中で母はとにかく気持ち悪いを連呼していました。
その後、私は知りませんが上司夫妻と私の両親が何らかの話し合いをしたようです。
お見合いらしき事件から二か月経った頃、私宛に手紙が届きました。
見合い相手からでした。

せっかくの出会いだったのに残念です。
あなたとなら楽しい家庭が築けたと感じたのは事実です。
父の胸が大きい女性が好きなのは本当です。
母も胸が大きいので軽い冗談だったのだと思います。
結婚したら時々は父とも楽しい時間を過ごして親孝行をしてほしかったです。

この時点で気分が悪くなりトイレに駆け込みました。
恥ずかしいも何もすぐに両親に話し再度上司夫妻に話しました。
弁護士を入れ少額でしたが慰謝料ももらいました。
それきり何も起こりませんでした。
四年後の26歳で結婚しました。夫にはいまだに冗談でもこの話はできません。
一番の被害者は私ではなく上司夫妻なのではないかと思っています。
父が言うには、家族ぐるみで付き合いがある時はそんな感じでなかったと言ってたようです。
握りこぶしを作り、本当はあの場で○してやろうと思った。ちゃんといい人と出会って幸せになってくれてよかった。
そう言ってくれました。母は人って外見や学歴じゃないよねとしみじみ言っています。
あの家族は今頃どうしているだろうか。
知りたくもあるが、普通ではない人たちなのでひっそりと朽ちて欲しい。

 

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